未来からのメッセージ
小学校1年生

期待と緊張が混ざったような不思議な感覚。

今は、1人で学校に向かっている。

今日は入学式、普通は親と一緒に来るけど

無理を言ってOKしてもらったんだ。

家を出る前、こんな会話をした。

「お母さんも後から行くからね!」

そして、少し哀しい顔をして

「車にだけは気をつけて」

と、言った。

うん、わかったと曖昧な返事を言ったが

何故母がこんな顔をするのかは、わかってた。

僕が今より小さい頃…

父は車に跳ねられ亡くなった。

その時は、死ぬって言う感じがわからなくて

「お父さん!遊んでー!」

と脱け殻になった父親に言っていた。

母は泣きながら

「お父さんはね、遠い所に行っちゃったんだよ

春樹…わかって…」

そうただ死んだ事を認めたくなかった。

誰に何と言われようと、父はずっと

僕と一緒にいてくれると思ってたから。

嘘だ嘘だ

お父さんは、死んだりなんかしない!

頭の中は、理解してたのに心は正直で

涙が止まらなかった。

もう、過去の事だから忘れようと

頑張った。溢れて来る涙も、今じゃ出てこない

そして、今に至る。

そんな事を考えてたら雨がポツポツ降って来た

あっ、傘忘れちゃった…。

「ねぇ?傘いる?」

後ろから声を掛けられた。

振り向くと、女の人が立っていた。

「だっ、大丈夫です!」

必死で遠慮をしているのに、

「使いなって!入学式でしょ?」

うっ…痛い所をつかれた。

「じゃあ、ありがとう」

そう言うと、びっくりするくらいの笑顔で

じゃ頑張って!と言って走って行ってしまった

名前聞いとけば良かった。

あとから後悔しても仕方ない!

そう言い聞かせた。

自分に言い聞かせる事は馴れている。

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