世界が終わる時の景色



「…まだよ」


志乃の整った顔が、一瞬ぴくりと歪んだ。

拗ねたようにぷいっと顔を背ける様子は、まるで子どもだ。


「食事を済ませてお風呂に入ったらしてくださいね」

「…嫌」

「志乃お嬢様」

「……」

「…ココアをお持ちしますから」

「……」

「……」


無言の応酬。


「…教えに参ります」

「ええ、待ってるわ」


その刹那、ころりと表情を変えた志乃。



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