世界が終わる時の景色



「…それは本当?」

「はい。昨晩、旦那様から連絡が入ったそうで」

「……」


彼女は、指先を唇に宛てる。

考え事をする時の癖だ。


「…何とか逃げられないかしら」

「……」

「…ふふ、返事もくれないのね。ねぇ、日向」

「…はい」

「私は日向を呼んだの」

「……」

「日向、…お願い」


縋るような彼女の瞳。


「…何?」

「私を連れ出して」



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