夢を見る
 確かに会社で一女性社員をやっている以上、大きな変化を求めるのは無理だろう。


 実際問題、出勤と帰宅の繰り返しで、自宅で過ごす時間は限られていたからだ。


 眠る時間が一番よかった。


 夜、十分睡眠を取れれば、翌日からの仕事もはかどるのだし……。


 あたしもウイークデーは、車に乗って通勤する。


 街の道路は朝渋滞するのだが、それさえ厭わなければ、マイカーでの通勤は苦痛にならない。


 車を社の駐車場に停めて、そこから歩き出す。


 大抵、午前八時四十五分頃にはフロアへと入り、午前九時の業務開始の準備をしていた。


 ちゃんとパソコンを立ち上げ、メールボックスを開いて新着メールをチェックする。


 仕事などいくらでもあった。


 目の前のことで手一杯だ。


 だけど、それが三十代女性の現実なのである。
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