夢を見る
 雄哉が来た時、一緒にゆっくりするつもりでいた。


 あたしも実家とは完全に手を切っていたのだし……。


 あの鬼のような父とも全然会ってないのだし、どうしているか知らなかった。


 だけど、見放されて当然だと思う。


 極度のアル中なのだから……。


 それに風の噂で肝臓ガンになっていると聞いたことがあった。


 あんな人間が死んでも誰も泣かないだろう。


 実際、あたしだって通夜や葬儀などにすら、行きたくないのである。


 別にいいと思っていた。


 あたしには自分の人生がある。


 それに変わりはない。


 もちろん、彼と過ごす時間の方に力点が移るのだし……。


 ゆっくり歩めばいい。
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