夢を見る
 人は他人の言ったことを聞き、それを元手に自力で生きていくしかない。


 それが人生だと思う。


 いろいろあっていいのだ。


 人間はそういった生き物なので。


 そんな風に思い、割り切っていた。


 平日フロアに詰めている間は、ずっとそんなことを思っていたのである。


 無駄なことに時間を使うのは止めようと考えていた。


 人生において、無駄というのは一切ないのかもしれないけれど、実際考えるだけ意味がないこともあるのである。


 そう思っていた。


 気付かない人間はずっと気付かない。


 まあ、一介の会社員だから、いつもは幾分退屈ではあったのだし、刺激というものには恵まれなかったのだけれど……。


 ずっとキーを叩き続けていた。
< 567 / 815 >

この作品をシェア

pagetop