甘え下手
なんでそこで余計なこと口にするのよ!


ギッと睨んだけれど阿比留さんは面白そうに方眉を上げた。


「櫻井室長ってプロモーション企画室の? へえ」


同じ会社だから、阿比留さんにはすぐに櫻井室長の顔が思い浮かんだようだった。


あああ、本当に最悪。

こんな初対面に等しい人にまで知られるなんて。


「……なんですか」

「いや。会社関係なら妹関係なくてよかったな」

「……関係なくは、ないですけど」


わざと聞こえないくらいの小さな声でボソッと言った。

案の定、阿比留さんは聞き取れなかったみたいで、「なに?」と顔をしかめて聞き返してきたけれど、「なんでもないです」と答えなかった。


参田さんもそうだけど、阿比留さんにはもっと知られたくない、私の片想い事情なんて。


「阿比留さんって……」

「なに」

「意外におせっかいですか?」


だって私に興味なさそうかと思えば、いろいろ口出してくるし。
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