甘え下手
『家族』じゃないから、俺に助けを求めてるんだろ。

分かってるけど俺にはどうしてやることもできない。


『あのね、ハンバーグ』

「え?」

『ハンバーグ、いつ作ろうか? 今度の土曜日のお昼とか、どう? ちょうどお義母さんいないの』

「あー、いいや。土曜は比奈子とデートの約束があるし」

『……なんだか翔馬くんがデートなんて言うと笑っちゃう』

「いつまでガキ扱いしてんんだよ」


無邪気にクスクスと笑われると、虚勢を張ってる自分がバカみたいに思えてくる。


『だってあの頃は中学生だったのにね』

「……人間は成長するんだよ」

『……そうだね。人って変わるものよね……天馬さんも』

「ハンバーグはさ、今度の会食の時に作れよ。どうせまた当て馬的になんか作らされるんだろ?」

『……また来てくれる? ねえ、今度はもうちょっとゆっくり話したいな』


それは比奈子抜きで来いってことか。

確かにもう連れて来ないと言ったのは自分だけど。


女ってホント怖えな。
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