甘え下手
「さーちゃんについて来ないでって言えない自分が悪いって分かってるから、そういう状況にならないように気をつけてたんです」

「比奈子がそんなに嫌だったら俺から……」


阿比留さんの言葉に私は勢いよく頭を振った。

阿比留さんに代わりに言ってもらうなんて一番卑怯な選択肢だ。


阿比留さんはおそらく私がそこまで妹の存在を気にしてるとは思ってなかったんだろう。

私達のことを仲の良い姉妹だと言ってくれたぐらいだし。


実際に私達は仲良しだし、私はさーちゃんが好きだ。

だけどその存在に怯えてしまうマイナスの気持ちだけはどうしても消せない。


「何も言わないで我慢して、不満ためて、そのくせそれに気づいて欲しいって思いだけは人一倍強い。私ってそんなちっぽけな人間なんです」

「比奈子？」

「十分に捻くれてます。残念なことに」

「……そっか」

「それでも阿比留さんのそばにいてもいいですか……？」


可愛くない私だけれど。


阿比留さんは私の言葉にフッと表情を柔らかくした。
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