撮りとめた愛の色









小間切れしていく映像を見つめながら指先を動かしてピントを少しづつ変えていく。カシャ、と僅かな重みをのせる度レンズから見える景色を切り取っていく短い音が耳を掠めた。




黒い筒に指を這わせ湾曲したレンズから視線を切り換えて手にしたままの、切り取った景色を詰め込まれた黒い箱を膝の上にのせ後ろを振り向く。


すると、ひとつの机でなにやらかたまりが出来ていて盛り上がっているようで、上から眺めている彼も笑みを零していてやたら楽しそうな顔をしている。確実に習字とは関係ないに違いない。


「あ、汰人。あそこ何してるの?」


ちょうど廊下から出てきた汰人へ声をかけると、いったん視線を投げた汰人は「嗚呼、あれか」と言いながら壁に背をつけるように腰を落ち着けると隣を叩いた。

私はきつくなってきた日差しから逃げるように縁側から立ち上がりそこへ移ると同じように後ろに背をつける。


「腕相撲らしい。さっきトーナメント作ってたから今は決勝かその前くらいだろ」

「……元気ね」


苦笑いを漏らした私に汰人も頷く。とてつもないほどのありがたい多量なレポートとこれから控える就活のおかげでそんな元気は残念ながら私達にはない。


「ずっとそこいたけど日焼け止め塗ったか?」

「ううん。でもまだ大丈夫じゃない?」

「どうなんだろうな。お前白いからすぐ焼けるんじゃねぇの?」

「そう?汰人の友達って焼けてる人多いからそう見えるだけでしょう?」


でも確かに日差しが強いから今日はもうこっちにいておこうと思う。今後が気になる焼けたくないお年頃としては用心に越したことはない。


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