―彼氏と彼女―
「……おい 聞いてんのか」
「……聞こえてる…」
俺が少しイラついてると、女はゆっくり俺を見ながら答えた。
―――瞬間。
あの、雨の日が頭の中を駆けめぐる。
「お前、頭良かったよな?」
あの日の女を思い出しながら、ゆっくり聞いた。
すると、女はそんな俺に気づくはずもなく、真っ直ぐな瞳を俺にぶつけながら、
「良いかは解らないけど……広瀬君の解らないところ、教えようか?」
言われながら、俺の頭の中には、大粒の涙を一粒流した彼女の姿があった。
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