―彼氏と彼女―
………何度、こうして盗み見ただろう。
あと数ヶ月で、もう彼には逢えなくなる。
三年間見続けた彼の姿は、後ろ姿ばかりで。
今この瞬間も、私の瞳にはやっぱり後ろ姿。
気付かれないように見つめていたのに、視線に気付いたのか、彼がいきなり振り向いた。
私は見ていたのに気付かれないように、慌ててノートを鞄に仕舞うけど、慌て過ぎて床に落としてしまった。
震える手でノートを拾うと、
「なぁ、お前、頭良かったよな?」
しゃがんでる私の耳に、椅子がズレる音と同時に、毎日聞いていた声が聞こえた。
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