再会の君に手を伸ばす


当時、私は同じクラスの男の子「友康くん」が好きだった。


そして……部活の後輩である友康くんの弟、「秋康くん」から言い寄られていたのだ。


誰もいない部室。まだ幼かった私に、もっと幼かったはずの秋康くんが抱きしめようと手を伸ばしてきたあの出来事。


笑って何でもないふりをしたけど、悔しいかな。今でもまだこんなに覚えてる。



大人になった今なら思う。


未来は分からないけれど、同じクラスにいたって全く興味を示してくれなかった友康くんよりも、秋康くんの優しい手を握ったら良かったかもって事。


あの頃は、幼すぎて、その場その場で報われない恋に一生懸命だった。


それも仕方ない。


不器用な可愛い時代だったのだ。




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