社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



時間を確認すれば予定時間まで1時間もなく、早ければ30分前には集まってくるだろう。





「何かあれば報告して下さい」





会議室を出て、ひとりまたチェックに向かう。


全てのチェックをおえなければ安心して社長を出す事は出来ない。


それもまた社長秘書である俺の仕事。


社長と奥様の馴れ初めを思い出していたが今はここまで。


次はそうだな――、今晩辺り肴にしながら思い出してこうか。





「串田さん!」





向こうから秘書課の、専務秘書が俺の名前を呼び慌てて走ってきた。





「大変です。今連絡があって例の件の代理人が…」





その言葉に続く言葉を想像しただけで憂鬱になった俺は眼鏡のフレームを指で持ち上げた。






< 149 / 452 >

この作品をシェア

pagetop