社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)



困惑気味のカメラマンさんにそう言われた私は頷いて、カメラの後ろからカメラの前にあるチェアに向かった。


そんな私に気付いた瞳子は私を見るなり、抱っこ抱っこと小さな両手を上に向ける。





「まーぁ」





瞳子を抱き上げてよしよしと慰めれば機嫌がなおったのかキャッキャと笑だした。





「すみません」

「いえいえ、やっぱりお母さんと一緒の方がいいみたいですね」





家族写真と瞳子だけの写真を撮りにここに来た。


けど瞳子だけの写真は撮れそうにないかもしれない。





「うーちゃんは一人で写真撮るのが嫌なのかな?」

「良くありますよ。お子さんはとても敏感ですから、いつもと違う環境や見知らぬ私達に撮られる事が嫌だと思うみたいで。どうされますか?」



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