社長の旦那と恋い焦がれの妻(わたし)






「早く行きなさい」

「うん…」

「優子が寂しがってどうするのよ。ねえ、瞳子ちゃん」





お母さんの腕の中できょとんとしてる瞳子に比べ、私は今からの事を考えると視界が潤んでくる。


最近ひとりで出掛けなかった所為か、たった瞳子と3時間離れる事実に、今から3時間もひとりなんだと思うと悲しくてたまらない。





「飯田さんのプレゼント買いに行きたいんでしょ。だったら早く行って帰ってくればいいじゃないの。瞳子ちゃんの事なら大丈夫だから」

「それは分かってるけど…」

「全く優子は。幼稚園の頃と変わってない。ママと離れたくない〜って入園1年経っても泣いてた頃を」





はぁ、と呆れたようにいうお母さんがグイッと私の背中を押した。





「いってらっしゃい!」



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