宝物〜絆〜
 休憩室に戻ると、秀人は喫煙コーナーで煙草を吸いながら携帯をいじっていた。

「待たせてわりぃな」

 時間を確認すると現在午前零時四十五分。確か二十分にはここを出たはずだから、二十五分も待たせた事になる。

「ああ、俺は良いよ。美咲の睡眠時間が心配なだけだし」

 秀人は旨そうに煙草を吹かして微笑む。

「意外に時間かかっちまったし、今日はもう寝る気ねえよ。待っててくれたお礼にメシでも奢るわ。ファミレスとコンビニ弁当どっちが良い?」

 今から帰って風呂入ったら二時は回るだろう。それからメシ作ったりしたらマジで寝る時間ねえよな。

「いや良いよ。少しでも寝た方が良いんじゃね?」

 秀人はキッパリと断った上に、さりげなく気遣ってくれてる。

「今から帰って風呂入ったりメシ作ったりしたら寝る時間ねえよ。よし、じゃファミレスだと時間かかるからコンビニ弁当に決定。行くぞ」

 言うやいなや休憩室を飛び出す私。

「おっ、おい。待てよ」

 秀人は煙草を持ったまま慌てて追いかけて来て、私たちはそのままコンビニに向かった。



     * * *



 それから週末まで特に変わった事はなく、静かに土曜日を迎えた。

 平日と同じく秀人と落ち合ってバイト先に向かう。

 恐らく香奈に呼ばれる事を前提に、秀人にはあらかじめ用があると言っておいたから、後は今日中に話をつければ大丈夫だろう。
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