宝物〜絆〜
「お前はバイト大丈夫なのか?」

 そもそも秀人は一人暮らしなんだから、そうそうバイト休んでらんねえだろ。家賃とかどうしてんのか知らねえけど。

「バイトよりこっちの方が大事だし」

 どことなく焦った様子の秀人。そりゃそうだよな。美咲が関わってんのに、冷静でいられる訳ねえわな。

 俺だって美咲が心配だし、何かあんなら助けてやりたいって思ってる。

「そうだよな。美咲、心配だもんな。とりあえず俺からの電話には出ねえだろうから、秀人の電話からかけてみてくんね?」

 俺は晃が恐らく電話に出ない事を前提に、秀人に頼んでみた。

「ああ。んじゃ、かけてみるか」

 秀人が快諾してくれたから、ポケットから携帯を取り出して晃の番号を教える。

 早速かけてみたが、故意なのか本当に出れないのかは分からないが、晃は電話に出なかった。
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