宝物〜絆〜
「話すのは良いんだけど、もう解決してるのに何話すの?」

 茜は首を傾げて不思議そうな表情で聞いてきた。

 確かに誤解も解けて話自体は解決してるけど、まだ問題は残ってる。

 私と居る事で茜に危害が及ぶなんて事、あって欲しくない。あん時だって、ずっとそう思ってた。

 私は茜を見て微笑むと、秀人に視線を移して話し始めた。

「何から話せば良いか分かんねえから、とりあえずはしょって言うと、今日ちょっとトラブって私は学校中の嫌われ者になった訳ね。だから校内で私と一緒に居ると、二人まで嫌われ者になる。だったら私と居ない方が良いだろ? だけど茜は悪いのは自分だって言い張って納得してくれない。唯も私を一人にするのは反対みたいで、話が纏まりそうにねえんだよ。だから纏めてくれ。あっ、ちなみに本当に悪いのは茜じゃなくて中西っつー男だから」

 私は今日の出来事をかなり要約して一気に話した。茜と唯を説得するという大役も一任して。
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