BirthControl―女達の戦い―
調子に乗って話している稲田を止めることは出来ないと諦めたのか、もう何も言うつもりはないようだった。


秘書の夏木だけが、忌々しげに稲田を睨み付けている。


青柳にいたっては我関せずといった様子で、料理を食べてごまかしているようだ。


この様子を見ていると、遥香がOldHomeで働いていることは世間的に公表されていないらしい。


それどころか政治家内部でも、一握りの者にしか知らされていないトップシークレットのようだった。


稲田も普段ならこんなに口が軽いはずもないだろうに、酒も入り気分が良かったのだろう。


要や梨央のこれまでの実績が、ようやく形になって実を結んだのだと言える。


稲田は酒の席での会話を外に漏らすことは決してないという二人の評判を、信用して話したに違いない。


長年の努力は無駄にはならなかったというわけだ。


遥香が道を開いてくれようとしていることは明らかだった。


そうでなければ自分からあの施設に行くはずがない。


麻生の顔を見ていればわかる。


遥香はあれから親とも戦ったのだ。


(……遥香、私はやっぱりお前を誇りに思うよ?)


昔、遥香にそう言ったことを思い出しながら、要は彼女から希望と言う名のバトンを受け取ったような気がした。


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