BirthControl―女達の戦い―
これで大丈夫なはず。


準備が出来たところで、青柳の後を追おうとした時。


ふとドアの傍にあった、床を掃除するためのものらしいモップのような柄の長いものに目を止めた。


慌てていて、スタンガンを部屋に置いてきてしまったのに気付いて、自分が武器らしいものを何も持っていないことに気付く。


これから青柳の後を追うのだから、こんなものでも無いよりはましかもしれない。


遥香はそれを掴むと、青柳の部屋を出て隣の扉に向かった。


その扉は、一見壁にしか見えない。


けれどどこかにこのIDカードを翳すと、ドアが開くはずだった。


何度もここに来てそれは確認している。


たまたまあの時は見つかってしまったけれど、遥香は懲りずに何度も偵察に訪れていたのだ。


はっきりとした場所はわからないけれど、よく見れば何かが違うのかもしれない。


そうでなければいくら慣れているとはいえ、青柳だって見つけるのが困難なはずだ。


冷静に頭を働かせて、確か青柳の背でこの辺だったような気がする場所を、指で触れてみる。


< 285 / 406 >

この作品をシェア

pagetop