BirthControl―女達の戦い―
その時、ようやく自分が撃たれたんだと気付く。


足の痛みは撃たれた痛みなんだと認識できた時、今度は胸に衝撃を感じた。


痛みはもう感じない。


だけど立っているのがやっとだった。


視界が霞んでいく中で、目の前で銃を向けていた青柳が倒れていくのが見える。


やはり頭に負った傷は、軽いものではなかったのだと遥香は漠然と思った。


(もう……大丈夫……かな……?)


青柳は倒れたまま動かない。


これ以上襲ってくることはないだろう。


丸山と久枝に危害が及ぶ心配がないと安堵した途端、遥香の体はそのまま崩れ落ちた。


「はるちゃん!!」


後ろから丸山の叫ぶ声が聞こえる。


久枝を抱えてるせいで、こちらに近寄ることが出来ないんだろう。


何度も何度も呼びかけられたけれど、瞼が重くて振り返ることも出来ない。


(なんか眠いな……

私、このまま死んじゃうのかな?)


朦朧とする頭でそんなことを考えながら、遥香はそれでも少しも後悔はしていなかった。


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