BirthControl―女達の戦い―
「百合ちゃん、今日は時間がないから、これ以上話せないけど、もし良かったら連絡先を教えてくれないか?

後で必ず連絡するから


悪いようにはしない

約束する」


百合子は泣きながら小さく頷くと、携帯電話の番号を紙に書いて渡してくれた。


少しだけ落ち着いたのか、のろのろと椅子から立ち上がり診察室から出ようと足を踏み出す。


ドアが開く距離まで進んだとき、百合子がふいに足を止めて振り返った。


「先生、話を聞いてくれてありがとうございました

なんかすっきりしちゃった!

後でランチ食べに来てくださいね?」


必死に笑顔を作る百合子が痛々しかった。


ますますどうにかしてやりたい思いでいっぱいになる。


それでも哲朗は百合子を不安にさせないように、自分もにっこりと微笑んでいつものように声をかけた。


「もちろん、食べに行くよ!

楽しみにしてるから」


百合子はさっきの無理して作った笑顔ではなく、今度は本当に嬉しそうに微笑むと、哲朗と遥香それぞれに軽く会釈をして出ていった。


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