りある♡プリンス




しばらくそうして眺めていると、翔さんがあたしを手招きした。



「え?」


「まひるさんもどうですか?」




きっと、クッキーどうですか? ってことだろう。


いやでも、あれは翔さんが食べるもの……





「まひる」




急に立ち上がった翔さんは、またあたしに近づいてくる。



そしてあたしの顎をくいっと持ち上げた。




「この俺が言ってやったんだぞ? …断ったら、どうなるかわかる…?」



少しでも動けば、すぐに唇が触れてしまいそうな距離。



「…っ」



あたしは視線を泳がせた。




近い近い近いッッ




あたしは頑張って、目だけで「わかりました」と伝える。



翔さんはそれを見事に感じ取ってくれた。





「これ、とても美味しいですよ」


「え、あぁ、そう、ですか」



ぎこちない返事になってしまう。




翔さんは、ほんとにわからない。


どうしたら、あんなにキャラが豹変するの!?


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