西澤さんと文子さん


「安西様、お待ちしておりました。」


着物を着た女性従業員に案内され、着いた場所は、個室になった部屋だった。
従業員が少し声をかけ、襖を開くとそこにはスーツ姿の西澤と和明、そして西澤の母の姿があった。

文子達も席に着くとそこに緊迫した雰囲気が漂い始める。文子の向かいに座る西澤の顔は、完全に引きつっている。それを見た文子も徐々に不安に駆られていく・・・


「西澤君。」


父がおもむろに口を開く。ドキッとした西澤は、思わず手にしていたお猪口を落としてしまった。


「西澤さん、大丈夫ですか?」
「だ・・・大丈夫です。」
「も~!何やってんだよ、兄貴(怒)」


西澤は自分が持ってきたハンカチで足元を吹くと、文子が机をきれいにした。その光景を見て・・・

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