西澤さんと文子さん

「西澤様ですね。」

そこにいたのは、スーツ姿の女性。その人はニコッと微笑むと「この度はご結婚おめでとうございます。」といいながら深々と頭を下げた。

「りょ、亮太さん?」

文子が不安そうに口を開くが、西澤は文子の手を引いて女性の後をついていく・・・。

席に着くと女性は机の引き出しからパンフレットを取り出す。そこに書かれていたのは・・・



「結婚・・・披露宴・・・のご案内?」



結婚式、披露宴の各プランが紹介されたパンフレット。結婚式は出来ないかもしれないとプロポーズを受けていただけに、この展開に驚きが隠せない文子。その横で、真剣な顔をして話を聞く西澤。


「文子さん。」


その西澤の声で、ハッと我に帰る文子。その顔を見た西澤は「驚きました?」とにこっとしながら話す。
文子は、首を縦に振りながら「うん。」と口にした。

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