西澤さんと文子さん


「あ・・・あの・・・」
「どうしたんですか?」


洋館から出て、少し歩く文子と西澤。少し、もじもじしながら無言で歩く・・・
文子は不安になりながら「式・・・大丈夫・・・ですか?」と重い口を開く。
すると西澤はこう答えた。


「どうしてですか?」と・・・


「だ・・・だって・・・費用とか・・・」


文子が小さな声でそういうと、西澤はぱっと一枚の紙を取り出した。その紙は、あるメールをコピーしたものだった。


「出版に・・・関する・・・お知らせ・・・?」
「そう。俺の夢、叶うんです。あと、数日後に(笑)」

そのメールは、プロポーズと顔合わせの間ぐらいの時期の日付のもの。差出人は大手出版社の編集者。出版に関することや、原稿に関しての打ち合わせなどについて記載されていた。

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