西澤さんと文子さん


「ハァ、ハァ…間に合った。」


息をきらしながら、西澤はそうつぶやいた。それを聞いた文子は、思わず西澤の顔を見る。少し笑いながら前を向く西澤。文子もその先に視線を合わす。そこには、一枚のポスターが中央に張られている。


「あれ…俺の小説…です。明日、ここに並ぶんです…」


西澤は、息をきらしながらも文子にそう話す。その目は、子供の様にキラキラしていて、文子はその目に惹かれていく。


「すごい・・・!」
「やっぱり、写真より・・・実物を見てもらいたくって・・・」


文子の顔を見てにっこりする西澤。そして、バックから何かを取り出す。


「これ…文子さんに。」


西澤はそういいながら、自分の小説を渡し、中を開ける様に促す。文子はゆっくり本を開いた。そこには、西澤のサインと一緒にこんなメッセージが…

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