西澤さんと文子さん


「西澤君の所にさっき行ってきたんだけど、ちょー格好よかったよ!」

「本当ですか?早く見たいなー。」


「で、何処まで?」

「?」


「まさか、キスまでってことないよね?」



「一度だけ…キス以外…」



照れながら話す文子に、鴨居もパートナーもほっとする。


「和ちゃん、すごく心配してたんだよ。」


鴨居のパートナーが口を開き、優しいその声で話し始める。


「日本から帰って来てから、ずっと“大丈夫かな”って。毎日、お祈りも行ってたんだ“大事な友達が幸せな人生を歩けます様に”って。」


文子は、目に涙をため込みながら驚くと、鴨居の顔を見つめる。


「私は、体も心も文子ちゃんと一緒で女の子になったわ。でも…」


少し下を向くと、すぐに表情を隠す様にほほ笑んだ鴨居。そして…


「だから、貴方達には幸せになって欲しいの。私達以上に。」


と言って文子を抱き締めた。

< 225 / 254 >

この作品をシェア

pagetop