西澤さんと文子さん

親子会話



「お父さん。」


木の扉の前で、父にそう呼び掛ける文子。黒の燕尾服を来た父は、文子の顔を見ないでただ正面を向いていた。緊張しているのが顔を見て分かっていた文子は「ありがとう。」とだけ伝えて口を閉じた。


結婚式が始まろうとしていたその瞬間、父は重い口を開いた。

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