西澤さんと文子さん

ブーケトス


式の一通りのイベントが終わり、手作りの結婚指輪をつけた西澤と文子は、外に出る扉の前で誰にも聴こえないように話し始める。


「よかった・・・」
「何がですか?」
「結婚式が出来て、文子さんの違う姿が見えて(笑)」
「違う姿・・・ですか?」
「はい。今日の文子さんは、いつも以上にきれいな文子さんで、その・・・」


途中で言葉を詰らせた西澤。
その姿を不思議そうに見つめる文子。
そんな文子の姿にまたドキッとしてしまう西澤。

数秒に沈黙のあと・・・西澤はいきなり文子にキスをした。


「もう一度、キスがしたくなるような文子さんでした。」


顔を紅くして、照れながら話す西澤に文子もチュッと頬にキスをした。


「わ・・・私も・・・亮太さん・・・かっこいいから・・・。」


文子がそう口にした瞬間、大きな木の扉が開き、二人は明るい日差しに包まれる。

外には、二人を祝福するためにたくさんの人が待っていた。

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