『さよなら』から始めよう



長い沈黙が流れたのか
高野の声が
耳を通り過ぎたのか


居酒屋の雑音さえも
時を凍らせ


”結婚する”の響きだけが
脳裏を木魂し
幻聴にすら想えてくる


徳子が 言い残した言葉が
微かに蘇り
”結婚”を匂わせていた事を
今更ながら 気がついた


『好きな人が 出来たの』


結婚したい相手が
現れた


そう言う事か




< 26 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop