心の灯り―キミがいてくれたから―

季節はもうすぐ夏。


夏服も解禁になってどんどん気温が上がる。


「あっつー!メイクはげる」


屋上で真由と由梨と3人でサボリながらアイスを食べている。


「こんな暑い日に数学とかやってらんねー!」


と真由が言ったから。


「真由メイク派手だからだよ」


由梨がクスクスと笑った。


「由梨みたいにスッピンでも美人ならいいけどねー」


アイスを食べながら真由がしかめっ面をした。


「こんなに暑かったら今日の料理教室中止だねぇ」


あたしもシャツをパタパタとあおぎながら言う。


「えー!今日はオムレツって言ってたじゃん!」


由梨の不満な顔。


「この暑さで料理とかマジ無理だから・・・」


週に1度の由梨に料理を教える約束は守っている。


ちょっとだけマシになってきたくらいだけど・・・。


陽人にあげるお弁当のためなんて正直嫌だけど、約束は約束。


そして、それを食べるか食べないかは陽人と自由。


由梨の気持ちを考えるとちょっと胸が痛いけど、あたしだって陽人が好き。


だから、たまに放課後、陽人にお弁当を渡しているのは内緒にしている。


陽人にも内緒って口止めしてるし。


知ってるのは、由梨以外の4人だけだ。

< 106 / 213 >

この作品をシェア

pagetop