ひだまりHoney
結局、間に合わなかった。
辿り着いた時には、もう既にエレベーターの扉は閉じてしまっていた。
階数字が一つ一つ減っていく。もう一基の数字は残念ならが増加中だ。
それを待っていたら、ビルの外で紺野さんの姿を見付けることは出来ないだろう。
帰り際でも良いかな。
諦めの感情が、そんな選択肢を提示する。
でも、燻った感情がすぐに問いかけてくる。
帰り際に紺野さんがいなかったら、次は「明日でいいか」と諦めるのか。
あっという間に金曜日なんて来てしまう。
幾度とないだろうチャンスをただぼんやり見過ごすのか。
紙袋の中を覗き込んで、私は階段を駆け下りることを選択した。
階段だって追いつくことは出来ないかもしれないけれど、諦めるよりは良い。