ひだまりHoney
目の前に線を引かれてしまったような気がして、これ以上進むことはできなかった。
『だって晴暉は私で満足してるもの』
掻きむしりたくなるくらい、心の中に嫉妬が渦巻いている。
こんなに激しい感情を抱いたことはない。
ここまで好きになった人は、初めてだ。
『晴暉に好きって言ってみないさいよ』
また希世さんの声が私をあおり立てる。
紺野さんが好き。大好き。
なりふり構わず、言ってしまいたくなる。
あなたの優しさが欲しい。私の傍にいて。私だけに手を差し伸べて。私だけを見て――と。
『距離を置かれるわよ』
もし私がこの気持ちまで伝えたら、紺野さんはもう私に笑いかけてはくれないのだろうか。
立ち止まり、指先でウインドブレーカーをそっと撫でた。