ひだまりHoney
昼間、私の目の前で希世さんと落ち合った紺野さんは、しばらくオフィスに戻ってこなかった。
保留とやらを解除したのかもしれないと、そんな嫌な妄想が体の中を満たしていく。
彼氏と彼女。互いを以前の関係に戻し、保留にしていた時間を取り戻すように……。
「今夜はサダ希世コの所に行くのねっ! 晴暉は私のことなんて、もうどうでも良いのねっ!」
桃宮さんが高い声音で、女性の振りをする。
目を薄く開いてちらりと見れば、紺野さんは苦々しい顔をしていた。
こんな調子では、金曜日までに二人っきりで話せるシチュエーションは訪れないだろう。
ため息を吐いてから、足下に潜めるように置いておいた紙袋を掴み立ち上がった。