ひだまりHoney

彼の手が私の手を掴み上げた。

「俺、珠洲がいてくれたら、もっと頑張れる」

思いの強さが、彼の手から熱になってしっかりと伝わってきた。

じわりと涙が込み上げてくる。

「好きだよ」

紺野さんが笑った。

私もつられて笑顔になる。

「私も……紺野さんが大好きです」

この思いの強さも彼に伝わって欲しいと願いながら、私は彼の手を握り返した。

はにかんだような笑みを口元に浮かべたまま、ほんの一瞬、紺野さんが俯く。

彼は改めるように私を見つめ直した。

そっと顔が近寄ってくる。

唇に紺野さんの温かさが重なった。

全く恐くなかった。それどころか、心が温かさで満ちあふれていく。

「珠洲」

触れたばかりの唇で、彼が私の名前を口にした。

大好きな優しい瞳が私だけを宿していることが嬉しくて笑みを浮かべれば、紺野さんの手が私の頬に触れた。

「笑った顔、俺も大好きだよ。ホンワリしてて、陽だまりみたいだ。俺の傍で笑ってて……これからもずっと」

真剣な声に涙がこぼれ落ちそうになった。

「はい」

大好きな温もりに体を寄せ、私は瞳を閉じる。


紺野さんの隣で笑う、穏やかな未来を思い描きながら。




<了>

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