ひだまりHoney
もし体を求められ……元カレに車の中に押し込まれたあの時のように、紺野さんの手を恐怖で振り払ってしまったらと思うと、恐くてたまらなくなる。
そんなことになったら、愛想を尽かされてしまうかもしれない。
ふいに視線を感じ顔を上げれば、紺野さんの穏やかな瞳がそこにあった。
「仕事帰りに珠洲と一緒って、不思議な感じだな」
「そうですね……でも、このくらいの時間に紺野さんが帰宅するなら、いつも一緒になりますけど」
「毎日は無理だけど、早く帰れる時は待ち合わせして、一緒に帰ろうか」
「はい!」
また温かい微笑みをくれる紺野さんに、心が幸福感で満ちいく。
――……大好き。
「ん? 電話鳴ってる?」
「本当だ」
紺野さんの言葉通り鞄を開けば、着信音がはっきりと聞こえてきた。
「凉太だ…………もしもし? 今バイト中じゃないの?」