密の味~そこから先~
彼氏がいるのにマラソンで…
私と雅志は幼なじみで。
いつも一方的にライバル視してた。
勉強でもスポーツでも。
何でも雅志より上でいたくて。
いつもムキになってた。
今日のマラソン大会もそう。
女子で一位になって自慢してやろう。
そう思って。
必死になって走りに走った。
――結果。
私は思い切り派手に転倒したのだった。
「京ちゃんさ、もう僕と張り合うのやめなよ」
保健室へ向かう途中。
雅志がどこか呆れたように呟いた言葉は。
いつもより少し語気が強くて。
私は何も言い返せなかった。
< 1 / 5 >