理想の恋愛関係
優斗君とはすっかり疎遠になり、それが当たり前の日々が過ぎて行った。


特に、変わった事は何も起きない。


気になっていた龍也からの嫌がらせも無く、一応は平和な毎日だった。


だけど……。



「……はあ」

「……何だそのため息は?」


無意識に出てしまった、ため息を聞き逃す事なく、兄は顔をしかめた。


食事の手を止めながら私を見る。


「……何でも無い」


気のない返事をする私に、兄は不機嫌そうな顔をした。


「最近、やる気が無いみたいだな。いつもボンヤリしているし……二ノ宮家との件がまだ堪えているのか?」

「……違うって何度も言ってるでしょ?」


またその話かと、ウンザリした。


ちょっと、物思いにふけっていると、直ぐにそんな事を言って来る。


まあ、兄なりに優斗君を見合い相手に選んだ事に対する罪悪感を持っているのかもしれないけど。
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