理想の恋愛関係
私にとって最高の見合い相手だと思った優斗君にも、一つだけ欠点が有った。


それは、どうも積極性が足りないところ。


デートの約束も私が動かないと、なかなかまとまらない。


仕事が忙しい事も有るようだけれど、それにしてもあまりに会う機会が少なくて、私はその事に少しの不満を持っていた。


そんな中、なんとか取り付けた約束がキャンセルされてしまった。


いくら仕事だって言われても、どうしても不満に感じてしまう。



「見合い相手の事かなり気に入ってるみたいね」


私の様子を見ていた鈴香が、独り言の様に言った。


「……気に入ってるわ。結婚相手として申し分無いしね」

「そうじゃなくて……結婚相手ってより普通に恋愛してる感じに見えたから」

「普通にって……」



鈴香の言葉に私は少し動揺した。


深く考えていなかったけれど、確かに鈴香の言う通り優斗君をいつの間にか見合い相手というより、普通の恋人として見るようになっていた。


「……そう見えるなら良かったわ。彼とは結婚するんだかから仲が良い方がいいもの」


鈴香には素っ気無くそう言ったけれど、改めて気付いた事実になんだか気分が良くなった。
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