理想の恋愛関係
家に帰ると、玄関まで兄が迎えに来た。


「ただいま」


靴を脱ぎながら言うと、兄が不機嫌そうに言った。


「遅かったな。どこに行ってたんだ?」

「食事と飲みだけど。何か用だったの?」


煩わしさを感じながら答えると、兄は頷きリビングに来るように合図して来た。


早く部屋に行き、優斗君からのプレゼントをよく見たかったけど仕方ない。


しぶしぶ付いて行くと、兄は信じられない事を言って来た。


「緑、今週末見合いの席を設けたから、そのつもりでいてくれ」

「は! 何、見合いって?」


眉をひそめる私に、兄は得意そうな顔で言った。


「かなり良い話だから急だが受ける事にした。お前も気に入るはずだ、相手は……」

「行かないんで断っておいて」


最後まで聞く事もなく部屋を出ようとすると、兄は慌てた様子で追って来た。


「お前、見合いしてもいいと言っただろ?」

「言ってないけど」

「言った! だから二ノ宮優斗とも合わせただろ?」

「は? いつの話してる訳?」


呆れた気持ちで兄を見た。


「そんな昔の話されても困る、もう気が変わってるわ」


今は優斗君一筋なんだから。


私の態度に兄は怒りを見せながら、見合いをするようにとそれはしつこく説得して来た。
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