理想の恋愛関係
「緑さん、今日はありがとう。助かったよ」


帰り道、優斗君が笑顔でそう言った。


「私も楽しかったから、誘ってくれて良かった」


本当に何もかもが楽しく感じる。


こうして、優斗君と二人きりでいられるだけで幸せ。


浮かれながら歩いていると、足がもつれて転びそうになった。


「あっ?!」


地面に転がりそうになるのを、足を踏ん張りなんとか耐える。


転ばずには済んだけれど、優斗君には見せたくない体勢になってしまった。


「み、緑さん……大丈夫?」

「だ、大丈夫、気にしないで!」


せっかく気合い入れてお洒落して来たのに台無しだし、恥ずかし過ぎる。


「ちょっと飲み過ぎちゃったみたい。
今頃になって足元が……」


居たたまれなくなり、言い訳をする私に優斗君は小さく笑った。


それから信じられない事に、ゆっくりと右手を差し出して来た。


「……え?」

「つかまって」


優斗君は私の手を掴むと、引っ張る様にして歩き始めた。


これって……。
今、私、優斗君と手を繋いでる?!


まさか、こんな事が現実に起きるなんて……。


その後は夢の中にいる様な気持ちで、夜の街を優斗君に連れられて歩いた。
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