理想の恋愛関係
一週間前。


「緑、お前も、もう27才なんだからそろそろ結婚を考えたらどうだ?」


リビングで寛いでいると、仕事から帰って来た兄に、突然そんな事を言われた。


「もうって何よ。それに結婚なんて当分無理、相手がいないもの」

「付き合っている男がいただろう? 確か、神原とかいう……」


怪訝な顔をして言う兄の言葉に、私は思わず顔をしかめた。


家になんて連れて来た事が無いのに、よく名前まで覚えているなと思う。


「……とっくに別れた。今は誰とも付き合ってない」

「別れたって、お前今回は真剣な付き合いだって……」


兄は呆れたような顔をして言う。


確かに、以前はそんな事を言ったかもしれない。


付き合い始めた頃は、正直言って結婚を意識していたし。


でも……。


私は一ヶ月前に別れたばかりの元カレ、神原龍也の顔を思い浮かべた。


今となっては苛立ちしか感じない。


なんであんな浮気男と結婚したいと思ったのか。


当時の私は、本当に見る目が無かった。
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