理想の恋愛関係
龍也の事は腹立たしかったけど、騒ぎ立てずに日々を送った。


毎日仕事をして終わると真っ直ぐ家に帰る、そんな繰り返しだった。



そんなある日、私は優斗君と思いがけず再会した。


顧客のレストランへ行き簡単な打ち合わせをした帰り、ノロノロと歩いている優斗君を発見した。


彼の姿を見るのは、別れた日以来だった。


自分でも驚く位、鼓動が早くなる。

周囲の音が聞こえなくなる。


優斗君とはもう関わらないと決めたはずなのに、気が付けば彼の目の前に飛び出していた。



「優斗君!」


呼びかけると、優斗君はゆっくりと振り返った。


彼はまず驚いたような表情になり、それから最終的には気まずそうな顔になった。


無視して立ち去る気は無いようだけど、どう見ても再会を喜んではいないようだった。


挨拶すらして来ない彼の素っ気なさに傷付きながら、話しかけた。


「優斗君久しぶり、こんなところを歩いてるなんて思ってなかったから驚いたわ」


「緑さん……お久しぶりです」


そう言いながらも、優斗君は顔を強張らせていた。


話しかけられて、迷惑に思っているのかもしれない。


そう考えると、悔しさと悲しさの入り混じった複雑な気持ちになり、つい嫌味を口にしてしまった。
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