理想の恋愛関係
「優斗君と付き合う事になったの」

「えっ?! なんで?」


私の報告に、鈴香は怪訝な顔をした。


「昨日会いに行ってね……話し合ったのよ」


昨夜の行動を多少控えめな表現で話すと、鈴香は呆れたような視線を送って来た。


「それは話し合いじゃなく、脅しだよね」

「優斗君にも、そう言われたけど……でも仕方ないじゃない、強く言わなかったらチャンスも貰えなかったんだから」

「それにしたって、たった1ヶ月でどうするつもり?」

「確かに短いけど、その間に努力して振り向いて貰えたらと思って。0からのスタートだけどね……」

「0からって、それ前向き過ぎるでしょ」


軽く驚いたような声を出す鈴香の言葉に、私は眉をひそめた。

「マイナスって何よ?」

「よく考えてよ。緑は彼を脅して無理やり付き合わせるんだよ? 彼は嫌々付き合う訳でしょ? はっきり言って嫌われてると思うよ。完全にマイナススタート……何でそんな無茶したの? 今までは振られたって引きずらなかったじゃない」


長々と語る鈴香の言葉に多少反発を覚えながらも、事実だと思った。


確かに優斗君に嫌われている。


あの冷たい態度。


付き合うメリットの無くなった私に、彼は好印象の男を装う事を止めたようだった。


今の彼が本来の彼なんだろうけど。
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