明日の果て

*決定的


 静かな露天風呂、空には輝く星がまたたいて、ここは人里離れた温泉旅館──佐藤 剛(さとう つよし)は、社員旅行に来ていた。

 人当たりを良くするために、好きでもない社員旅行に参加する。

 しかし今回は、きらびやかな場所から遠ざかりたい気分でむしろ有り難いと参加した。

 そんな気分になったのは他でもない、ジェティスという不思議な人物と関わったからだ。

 そもそも、あの男は人間なんだろうか?

 不思議な雰囲気と、夢とは言い切れないあの感覚。

 そしてあの動きと攻撃は、とても人間とは思えなかった。

 幽霊や心霊の類にはとことん弱い剛は、

「勘弁してくれ」と頭の中で叫んでみるも、あの男の存在は消せはしなかった。
< 15 / 153 >

この作品をシェア

pagetop