明日の果て
「早く、早く着いてくれ」

 剛は必死で神頼み(真横に神がいるにも関わらず)した。

 もう限界かもしれないと思ったとき──ふいに重さが体に伝わってきた。

 ほんの数秒だったのだが、気分の悪さが数十分にも感じさせていたらしい。

 そうして、目の前に広がっている風景に剛は眉を寄せる。

「地獄みたい」

 彼の目には、荒野が果てしなく続き点々と建つギリシャやローマを思わせる建物が拡がっていた。

 それとは逆に空は色とりどりに美しく、どこか殺伐として、それでいて温もりを感じる。

 そんな場所だ。

「失礼な。ここは『闇の世界』と呼ばれる、私が属する神族が棲む世界だ」

「へえ……」

 辺りを見回すが、続くのは荒野と美しい空だけでその中にぽっかりと神殿がまばらに建っている。
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