いとしのくまこさん
「総務の姫川さんなんですけど。公私混同が過ぎますね。昔、わたしに怒ったように、ちゃんと指導しておいてください」


「……ああ、わかった」


大きく息を吐き、通用口から外に出た。


湿気の混じる生あたたかい風が頬をなでる。


上を向くと厚い灰色の雲が空を覆い尽す。


今にも雨が降りそうだ。


道を挟んだ大きな道路を渡ってコンビニに入る。


適当にパンとコーヒーを買いこんで会社に戻った。
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