いとしのくまこさん
「とられると思ったから」


「とるわけないでしょう。クマのこと、嫌いなんだもん」


「だって、物欲しそうな目をしてましたよ、熊井さん」


「まるで狩りでもするかのように見えたとか」


ふっと、唇を震わせながら伊吹くんが笑った。


「まあいいわ。女子社員イチの図体も態度もでかいからそう見えても仕方ないか。昔ね、あだ名がクマコだったのよ」
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